節税=租税節約:タックス・セービング(tax saving)は、税法で認められている方法により、課税所得を減少せしめ、合法的にして合理的な手段により、租税負担の軽減をもたらすことである。節税は、違法な手段や方法によって、租税負担の不法な削減をもたらす方法である。いわゆる脱税=租税逋脱:タックス・イベーション(tax evasion)、及び税法の目的の裏をかく悪計により不当に租税の軽減を図る方法である、いわゆる避税=租税回避:タックス・アボイダンス(tax avoidance)とは、明確に区別されなければならない。
節税は、誠実な納税者国民の権利として定着した概念であるが、それが言葉の意味としているわりには、具体的な手法や実務的プランとなると案外に空虚なものや、小手先のテクニックにとどまっていたり、ときには、興味本位の課題に堕していたりする傾向さえなくはない問題である。これは節税の原理とその本義がよく認識されていないためであろう。
租税節約の本義は、複雑膨大にして難解な租税関係法令と税務会計のシステムやメカニズムを徹底的に解明し知悉した高度の税務専門知識を知的武器として、それに実務的経験に裏付けられた「豊富なキャリア」を背景とした「知的ヒラメキ」による優れたアイデアを生み出し得る者によってはじめて体得することができる優れた英智なのである。
(品川 芳宣『節税と税務否認の分岐点』)