取得の種類 | 内容 | 例 | |
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総合/分離 | 利子所得 | 預貯金や公社債の利子ならびに合同運用信託、公社債投資信託*および公募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る所得 *約款上、投資対象に株式を組み入れずに債権等で運用する証券投資信託 | (源泉分離課税) ・国内の銀行利子 ・郵便局の利子 |
(申告分離課税または申告不要) ・国債の利子 ・MMFの収益分配 | |||
(総合課税) ・国外の銀行の利子 ・同独会社の株主が受ける利子 | |||
総合/分離 | 配当所得 | 株主や出資者が法人から受ける配当や、投資信託(公社債投資信託および公募公社債等運用投資信託以外のもの)および特定受益証券発行信託の収益の分配などに係る所得 | ・非上場株式の配当* ・ETFの収益分配 ・REITの配当 *少額配当(1回に支払を受ける金額が「10万円×(配当計算期間の月数÷12か月)」以下)に該当する場合、20.42%の税率で源泉徴収(総合課税/申告不要から選択**(住民税は申告必要)) 少額配当にが移動しない場合、20.42%の税率で源泉徴収し、総合課税 **課税所得額900万円未満で税率が23%以下の場合、基本的に申告が有利 |
・上場株式の配当(総合課税/申告不要の申告分離課税との選択が可能*) *源泉徴収の税率20%に対し、課税所得額695万円未満で税率20%以下の場合、基本的に申告が有利 NISAで非課税の適用を受ける場合、課税なし(源泉徴収なし) 大口株主等(株主本人に加え、当該株主の同族会社が保有する株式を含めて3%以上保有する個人株主)が支払を受ける場合、20.42%の税率で源泉徴収される総合課税 上場株式等の配当所得と譲渡損失の損益通算を行う場合、申告分離課税で申告(配当控除はなし) | |||
総合 | 不動産所得 | 土地や建物等の不動産、借地権等不動産の上に存する権利、船舶や航空機の貸付けによる所得(事業所得または譲渡所得に該当するものを除く。) | ・地代、家賃(事業的規模の不動産の貸付判断基準:(1) 貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること。(2) 独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。) ・礼金、更新料 ・土地の貸付に係る名義書換料 ・テナントや入居者から受け取る共益費 ・任意組合型の不動産クラウドファンディング(不動産の所有権付与)の分配金 |
総合 | 事業所得 | 農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業から生ずる所得(不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は、原則として不動産所得や山林所得となる)。 「自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反覆継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得」(最高裁判例 昭和52(行ツ)12) <社会通念上の事業として総合的に勘案される要素 国税庁 所得税法における「業務」の範囲について> ① 営利性・有償性の有無 ② 継続性・反復性の有無 ③ 自己の計算と危険における企画遂行性の有無(cf.賃貸収入>借入金の返済額 (国税不服審判所 平19.12.4裁決 裁決事例集No.74 37頁) ④ 費やした精神的あるいは肉体的労力の程度 ⑤ 人的・物的設備の有無 ⑥ 資金の調達方法 ⑦ その者の職業、経歴及び社会的地位 ⑧ 生活状況 ⑨ 業務から相当程度の期間継続して安定した収益が得られる可能性が存するか | ・フリーランス |
総合 | 給与所得 | 使用人や役員等が支払いを受ける俸給や給料、賃金、歳費、賞与のほか、これらの性質を有する給与に係る所得 「雇傭契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付をいう。なお、給与所得については、とりわけ、給与支給者との関係において何らかの空間的、時間的な拘束を受け、継続的ないし断続的に労務又は役務の提供があり、その対価として支給されるものであるかどうかか重視されなければならない。」(最高裁判例 昭和52(行ツ)12) | ・給料 ・賃金 ・ボーナス |
総合 | 一時所得 | 利子所得から譲渡所得までのいずれの所得にも該当しないもので、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外のものであって、労務その他の役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得 | ・競馬、競輪、競艇の払戻金 ・満期保険金 ・懸賞金 ・大会主催者以外からの報奨金 |
総合/分離 | 雑所得 | 利子所得から一時所得までの所得のいずれにも該当しない所得 (年収2千万円以下の給与所得者で給与以外の所得が20万円の場合は申告不要) | (総合課税) ・厚生年金、国民年金、個人年金の受給 ・原稿料、講演料 ・暗号資産 ・外貨預金の円普通預金、円貯蓄預金等への預け替えにより確定された為替差益(為替差損は雑所得から控除) ・大会主催者からの入賞賞金、記録更新賞金(役務の対価又はその役務に付随して取得) 所得税基本通達35-2 業務に係る雑所得の例示(事業所得又は山林所得と認められるものを除く) (1) 動産(法第26条第1項《不動産所得》に規定する船舶及び航空機を除く。)の貸付けによる所得 (2) 工業所有権の使用料(専用実施権の設定等により一時に受ける対価を含む。)に係る所得 (3) 温泉を利用する権利の設定による所得 (4) 原稿、さし絵、作曲、レコードの吹き込み若しくはデザインの報酬、放送謝金、著作権の使用料又は講演料等に係る所得 (5) 採石権、鉱業権の貸付けによる所得 (6) 金銭の貸付けによる所得 (7) 営利を目的として継続的に行う資産の譲渡から生ずる所得 (8) 保有期間が5年以内の山林の伐採又は譲渡による所得 |
(申告分離課税) ・FX | |||
(源泉分離課税) ・匿名組合型不動産クラウドファンディングの分配金 | |||
総合/分離 | 譲渡所得 | 土地、建物、ゴルフ会員権等の資産を譲渡による所得、建物などの所有を目的とする地上権などの設定による所得で一定のもの。ただし、事業用の商品などの棚卸資産、山林、減価償却資産のうち一定のものなどを譲渡することによって生ずる所得は、譲渡所得とならない。 | (総合課税) ・ゴルフ会員権の売却 ・個人事業主の事業用の車の売却 ・趣味を目的とした車の売却(所有目的が通勤、買い物などがメインの場合は非課税) ・1個または1組の価額が30万円超の貴金属、宝石、書画、骨董 取得日以後5年以内:短期譲渡所得 取得日以降5年超:長期譲渡所得 |
土地、建物、株式等の譲渡による所得 | (申告分離課税) ・土地の売却 ・住居の売却 ・株式の売却(特定口座、少額投資非課税制度(NISA)は申告不要) | ||
分離 | 山林所得 | 山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生ずる所得(山林を取得してから5年以内に伐採または譲渡した場合には、山林所得ではなく、 事業所得または雑所得)。 | ・取得後5年超の山林の譲渡 |
分離 | 退職所得 | 退職により勤務先から受ける退職手当や厚生年金基金等の加入員の退職に基因して支払われる厚生年金保険法に基づく一時金等の所得 | ・退職金 |
メリット | デメリット | |
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総合課税 | 損失が生じた場合、他の所得と相殺することが可能 | 累進税率の適用により、高所得者は税負担が大きくなる |
分離課税 | 独自の税率が適用されるため、総合課税の累進税率よりも税率が低くなる場合がある | 原則として他の所得と損益通算不可 |